厚生労働省は令和7年3月26日に業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル「スーパーマーケット業編」を公表しました。マニュアルではスーパーマーケット業界におけるカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)の実態を把握・分析し、業界共通の対応方針や企業が取り組むべき対策等を示しました。今後は他の業種別マニュアルの作成も進めていく方針です。
1.カスタマーハラスメントと対策の意義
カスハラの定義は「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」としています。マスコミでも積極的に取り上げられ、カスハラの認知度は上がっています。
カスハラによって、従業員においては業務パフォーマンスの低下や健康不良、企業においては対応コストや業務の支障や職場環境の悪化、顧客においてはサービス提供がされないなどの影響が考えられ、カスハラへの適切な対応が求められています。また、カスハラに関連する条例制定の動きもあり、企業としてもカスハラに対する姿勢を示さなければ、新規採用の減少や、離職率増加を招くことになり兼ねません。
企業として従業員には安心感を与え満足度を高めるよう対策を進め、現実にトラブルが発生しても慌てず適切な対処によりカスハラが減少すると考えられます。また、カスハラ対策は自社内だけの影響にとどまらず、顧客の安心感にもつながります。
2.企業が取り組むべき7つの対策
[1] 事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
⇒カスハラから従業員を守るため毅然とした組織の対応をポスターなどで顧客等にも周知
[2] 従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
⇒トラブル発生時のシステム活用や館内放送利用による周囲への周知ルールなど具体的に
[3] 対応方法、手順の策定
社内の基準の周知と研修により慌てず
[4]社内対応ルールの従業員等への教育・研修
一貫した対応を可能に
[5]事実関係の正確な確認と事案への対応
⇒クレームが正当なものか悪質なものか、顧客の主張・意見を傾聴し、事実確認をしたうえで店長や担当課などの第三者も含めて判断
[6] 従業員への配慮の措置
⇒まずは顧客等と従業員を引き離すなど従業員の安全を確保し、精神面の配慮を実施
[7] 再発防止のための取組み
⇒発生した事案について対策や防止策を検討・実施・記録にて今後に活用
※労働保険の年度更新は6月2日〜7月10日です。ご準備ください! |